作家 松沢直樹のブログ
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 感染呪術「かまけわざ」と読みます。
「かまけわざ」というのは、日本の国土を造ったとされている伊奘諾尊命(イザナギノミコト)、伊奘再尊命(イザナミノミコト)という、男女の神様が交わる姿を演じることによって、雨を呼び、秋に実る稲や農作物の豊作を願うというもの。まあ、有体に言えば、いわゆる「雨乞い」です。梅雨なのに雨降らないしねえ。
この時期から真夏にかけて、日本中の各地で行われるお祭りなどで、面を被って男女の神が交わる姿を演じる催しを、よく見かけるようになります。中には結構過激で、ちょっと写真では公開できなさそうなお祭りも少なくないですが、ここらあたりが日本本来のおおらかさなんでしょうね。
(少なくとも日本は、明治時代になってキリスト教文化に根ざした欧州文化を積極的に輸入するようになるまで、男女の社会的役割や性について、おおらかな考え方が浸透していました。)
この「かまけわざ」。日本書紀に書かれている伊奘諾尊命(イザナギノミコト)、伊奘再尊命(イザナミノミコト)が日本の国土を生んだエピソードにあやかったもの。実際に、日本書紀に書かれているエピソードとは、かなりかけ離れています。
ご利益があれば、なんでもアリ。多少こじつけてでも、ご利益にあやかろうってのも、また日本的なおおらかさが感じられて、個人的には好きですね。
中には、女性が単独で妖艶な舞いを舞うと、神様が興奮して射精して雨が降ると信じられているお祭りもあるのだとか。 (てことは、雨を降らせる神様は男性ってこと。そいでもって、俗に言う雨女は、すごい美人さんってことになるのかな?)
こういったエピソードは、古代からの民間芸能である神楽(かぐら)や、中世に芸術として成立した能、江戸時代に民間に浸透した歌舞伎にも、その名残を見つけることができます。
話がいささか脱線しましたが、要は、国を作るほどの強大なパワーを持った神の力を自分たちのものにして、農作物や子供たちの健やかな成長や、物事が滞りなく進むことを願う考えがあるんでしょうね。 (日本書紀の国産みのエピソードは、めちゃめちゃ長くなるので、また別の機会に。まあ、興味がある方には面白い内容だと思いますが。四国が女性で、九州が男性とかさ。)
強大な力があるものを恐れると同時に、その力を自分のものにするという、呪術的な信仰は、日本だけでなく、世界中に存在するようです。
オーストラリアの先住民であるアボリジニの部族の中には、仕留めるのに時間がかかったカンガルーの骨を他の獲物に向けると、あっさり仕留めることができるようになると信じられているのだとか。
日本では、力のあるものの体の一部や、身につけていたものを譲り受けることで、自分に同じような力が身につくという考え方がありました。いわゆる感染呪術的な原始信仰ですが、その昔はそういった行為を「乞い」と呼びました。 男女が愛情を通わせることを「恋」と呼ぶのは、その名残だと言われています。
恋愛ってのは、良くも悪くも、男女それぞれのわがままな部分が一気に噴出してくる感情でもありますので、男女の恋愛にまつわる呪術的な行為っていうのは、時代が下っても様々なものがあるようで。
じいさま世代の殿方だと、情を交わした芸者さんの大事な部分のヘアを御守りに入れておくと、博打に負けないとかいうのがあったそうで。 時代がさらに下って太平洋戦争時には、奥さんや恋人の髪の毛を御守りに入れておくと、戦地で弾にあたらないとかいったいう話もあったらしいですね。なんでも、男性が女性にせがむのは野暮の極みで、女性がそっと男性に持たせるのが粋とされたそうで。 うーむ。女性の心は永遠の謎ですが、おそらく自分の体の一部分が離れた人と一緒にいるということに、心のつながりを見出したんでしょうなあ。
そういえば僕が学生のころ、モテモテ君は、卒業式に女の子から学生服のボタンをせがまれるなんて光景がありましたっけか。(あっしは、モテナイ君だったので記憶にございませんが) ひょっとすると、あれも、神話の時代から続いた感染呪術(かまけわざ)の一つだったのかも。
当世の若い世代の方の恋愛事情はよく知りませんが、大好きな人から届いたメールを特別なフォルダに入れておいたり、携帯ストラップを御守り代わりにつける女性も多いようで。
これも神話の時代から形を変えて続いている感染呪術なのかもしれませんね。 この国には、形こそ変えてはいるものの、私たちの知らない形で脈々と伝え続けられている何かがあるようです。
この国に生まれて40年になろうかとしてますが、まだまだ知らないことがたくさんあるものです。不思議の国ニッポン。
もっとも一番よくわからないのは、今日現在のところ、年金保険料がどこに消えたのかということと、郵便貯金がちゃんと戻ってくるのかということですけど。
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プロフィール
HN:
松沢直樹
年齢:
56
HP:
性別:
男性
誕生日:
1968/03/03
職業:
著述業
趣味:
冬眠
自己紹介:
沈没寸前のコピーライター ライターです。ヤフーではなぜか「小説家」のカテゴリにHPが登録されてますが、ぢっと手を見る日々が続いております。
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