忍者ブログ
作家 松沢直樹のブログ
[11] [10] [9] [8] [7] [6] [5] [4] [3] [2] [1]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

恋する女のコの恋愛専門待受サイト。おしゃれな写真とにせつない恋のメッセージをのせたメッセージ待受3000枚以上がダウンロード無制限!さらに名入れメッセージや占い、短歌投稿コーナーなども充実。imode・Ezweb・vodafoneの公式サイト。

060827_1858~01.JPG

木曜日に外国企業のトップを招いた
設宴を取り仕切ることとなった。

建前上、内輪のホームパーティだが、
そこはコンペに残った2つの企業が、
仕事を取り合うための
最終プレゼンの場でもある。

要は、首脳会談よろしく、設宴の料理と酒で気分を和ませ、
自社に有利な交渉展開を図ろうってわけですな。

相手のアメリカ企業が引っ張ってきた料理家は、
フランス共和国公邸で、各国外交官や首脳との設宴を
任されていたらしいという猛者。

公館の料理人は、自分の出す料理が、
自国の命運を握っているという
緊張感を常に持ち合わせている。

舌戦では海千山千の外交官や各国首脳も、
酒と食の場では隙が出る。

そのことを公館の料理人は、常に自覚し、
自国の外交官が有利な交渉展開を図るための
料理を出すという、目的意識を持っている。

たかが料理ではあるが、
国益と国の威信をかけた
見えない戦いが皿の上で行われているというわけだ。

そんな歴戦を重ねた猛者ならば、
相手にとって不足なし。

伝統的な和食の技法だけでなく、
フレンチ、イタリアンの技法も多少なりとも身につけた、
型破りな野武士のような自分の料理が、
どこまで通用するか、考えただけでもわくわくしますな。

ふふ、ちょこざいな。おいしいものご馳走してやるぞ。
い、いや、もとい、目にもの見せてくれましょうぞ。

クライアントからは、和食を出すことを希望されている。

とはいえ、クライアントが
いかに日本文化に造詣が深いとはいえ、
やはり脂肪分の多い食事に慣れた
欧米の方なのは間違いない。

伝統的な和食を出しても、
おそらく不利になるだろうし、

NY辺りの値の張る店で懐石料理を
食したことがあるだろうから、
目新しさという点でも、有利な展開は期待できない。

設宴に招くVIPの情報を考慮した結果、
和食の繊細な味わいに、
濃厚な旨みを持つ、
型破りな品を加えた献立を考える

コンセプトは和魂洋才。私が好きな言葉でもある。

日本酒やワインとのマリアージュ
(仏語で結婚の意:ここでは料理と酒の相性)を
考えた献立にするが、
横槍を入れられても問題がないように、
ワインやシャンパンにも合うように
献立を組み立てておく。

寿司のような鮮魚や酸味の強い食材を使った和食は、
ワインやシャンパンには合わないことが多い。
魚の生臭さだけが目だって、
とても食べられたものではなくなることがある。

せっかくだから、
ワインと一緒にこの料理を食べてみたい
なんていわれて、そのまんまワインを出したが最後
なんてことにならないように、
構えておくというわけですな

懇意にしていただいているスタジオにお願いして
器は、織部焼きと備前焼きを主体に。
後は、朱塗りの椀などといった
日本を強調したものを
調達してもらった。

箸を使うことになれていない、
ゲストのための食器を添えることも忘れない。

酒は、日本酒、焼酎を200銘柄試飲し、
10銘柄をピックアップ。
一度封を切った後、空気になじませ、再び氷温で貯蔵
三日後に最良の味わいを引き出せるようにする。

ひしお、味噌、香辛料などの調味料も調達。
スタジオにこもって
自分の献立に合うようにカスタマイズする。

地味な作業だが、こういったところが
明暗を分けてしまうので、注意を払う。

写真は、今回の秘密兵器。

手製の「煎り酒」という調味料です。

日本酒に梅干と出汁を加えて
煮詰めて作る調味料ですな。

醤油が普及する以前では、
刺身などの調味料として
広く使われていたが、現在では、
ほとんど使われていない。

(一説には、安土桃山時代の武家が
好んだといわれ、織田信長も、煎り酒で、
刺身やなますを食することを好んだとされる)

さよりやすずきといった白身の魚に使うと、
淡白な独特の風味が映える。

醤油を使った時のように、刺身をつけても、
黒くなったりしないため、
白身の美しさをそのまま楽しめる。

また、わさびをこぼしてしまっても、
煎り酒に溶けたわさびが、
鮮やかなうぐいす色に変わってくれるため、
粗相すら、ちょとした余興にしてくれる
という楽しみもある。

(※和食をいただく際に、わさびを醤油にこぼすのは、
作法の上で好ましくないとされている)

懇意にしていただいている料理スタジオにこもって、
仕込んでからちょうど2週間。
封を開けて、味を研ぐ(味見のことです)
ふむふむ、しっかりとなじんでますな。

塩味だけでなく、複雑な旨みと日本酒の芳香が絡み、
ふくいくとした繊細な味わいと同時に、
豪胆な存在感があります。
時間をかけて手作りした甲斐がありました。

鍛造を終え、研師の手によって、
刃入れを済ませた
日本刀を手にしたような重量感がありますな。
申し分ない。

献立も決めたし、後は水菓子(デザート)の献立を
考えるだけですな

1ヶ月ほど前から、某居酒屋チェーンの依頼で
作っていた、アメリカンチェリーの
コンポートを使って、
日本酒のジュレ(ゼリー)でも出しますか。

仕事に通っている料理スタジオで試作してみましたが、
これがまた大変よろしい。
和洋問わず、見事に設宴を締めてくれる一品ですわ

考えてみれば、アメリカ産のチェリーと、
フランス産のワインが、
日本酒のジュレ(ゼリー)に飲み込まれてしまうという
一品なわけで、
まあ嫌味な料理ではありますな。

フランスのシェフを引き連れてきた
アメリカ企業のアイデアよりも、
我々日本企業のアイデアと企画の方が
優れているという意味に取れるからね。

その意味を知ったら、相手側は、
さぞかし悔しがるでしょうなあ、うふふ。
まあ、これも洒落とか粋ってことで、ひとつ。

さ、設宴の準備は万端、あとは楽しみましょう。

あ、そだそだ。高級食材が余ったら、
後で、まかないつくって、
手前でごちになろうっと。(やっぱり食い気かよ)

PR

コメント


コメントフォーム
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード
  Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字


トラックバック
この記事にトラックバックする:


忍者ブログ [PR]
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
最新トラックバック
プロフィール
HN:
松沢直樹
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1968/03/03
職業:
著述業
趣味:
冬眠
自己紹介:
沈没寸前のコピーライター ライターです。ヤフーではなぜか「小説家」のカテゴリにHPが登録されてますが、ぢっと手を見る日々が続いております。
バーコード
ブログ内検索
アクセス解析
アクセス解析