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作家 松沢直樹のブログ
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昨日は、六本木ヒルズで、東京国際映画祭のプレス向け試写を拝見してきました。

世界各国からの作品が集まっているというのに、スケジュールの関係で複数日おうかがいできないのが残念!
六本木と渋谷の会場で、素晴らしい作品が上映されているのですけど……ああ、この一週間全ての仕事をキャンセルして映画見まくりたい。

とはいっても、上映時間が重なってますから、物理的に不可能。
今回は、アジア映画に的を絞って拝見させていただくことにしました。

それでもスケジュールの関係で、全ての作品を拝見できないのが残念。

しかも、よりによって今日からティーチイン(監督や役者さん、スタッフなんかの舞台挨拶に加えて、直接質問をできる時間を設けるイベント)がわんさかあるんですよ。うう、残念です。

なぜ「アジア映画」って?
えとね、個人的な考えなんだけど、映画の魅力って、やはり人物とストーリーだと思うんですよ。

CGを駆使したアクションシーン連続の娯楽大作も結構だけど、人の心に訴えかける求心力を持ち合わせたストーリーがコアになってる作品の方が、出演されている俳優さんや女優さんの演技も光って見えるように思えるんです。

撮影に携わっておられた監督さんをはじめ、スタッフのみなさんのエネルギーも力を与えているような気がするしね。

一概なことは言えないと思うんだけど、アジア映画は、そういった求心力と魅力を備えていると思うのね。

アジア映画のそういった傾向は以前から変わらないと思うんだけど、撮影機材の問題や、製作の資金調達や、できあがった作品を配給するルートとかの問題とかいったいろんな問題がありました。よしんば作品が完成しても、製作国以外では鑑賞できないケースもあったりしました。

ありがたいことに、ここ数年のデジタル撮影機器の発達&価格低下、作品自体を外貨獲得の輸出品と捉える国が増えたことで、製作から世界各国への配給といった障壁は改善しつつあります。

インフラや資本に左右されない環境が整ってきたおかげで、文字通り作品のガチンコ勝負という状態。これは見るしかないでしょう。

ああ、でも、あれも見たいこれもみたい。みなさまにお勧めするなら全編見るべきなのでしょうけどそれは無理。どうしたらよいものか。

ええい仕方ない。自分が全編見た映画と、資料やダイジェスト映像を見た中で、お勧めアジア映画を独断と偏見でピックアップしてみませう。

まずみなさまにお断りしておきたいのは、全ての作品が封切り前なので、作品のあらすじの全編や詳しい紹介は書きません。マスクをかけます。

関係者の方にご迷惑もかかりますし、そもそも映画の醍醐味は、劇場で実際にスクリーンを通して作品に触れることだと思いますので。
ぜひ封切後、シアターに足を運んで、作品を鑑賞してみてくださいね。

あわわ、そんな制約かけちゃった中で、三品沈没寸前ライターが、作品の魅力をお伝えできるのかしらん? ええい、いってみましょう!

まずは、昨日、全編を拝見させていただいた作品ね

■世界はときどき美しい(2006 日本映画)
監督 御法川修
脚本 御法川修
製作 世界はときどき美しい製作委員会
キャスト
松田龍平 市川美日子 片山瞳 松田美由紀 柄本明
浅見れいな 瀬川亮 草野康太 木野花
遠山景織子 あがた森魚 尾美としのり
2007年 春 渋谷ユーロスペースをはじめ、全国順次公開

五章の物語から構成された作品。
それぞれの章で登場する人物の視点でストーリーが展開していくのですけど、ぼくたちが日常繰り返している生活の中に存在している、些細なようでいて、実はかけがえのないものが叙情的に表現されていると感じました。

加えて、漠然としていてつかみどころはないのだけど、みんなが時代を通じて共有している不安感とか、生きている中で毎日経験するやるせなさとかいったものが、叙情的に繊細な映像で表現された作品でしたね。

フィーチャーされている鈴木慶江さんのソプラノも、映像の一部に感じるくらい繊細。
鑑賞後、独特のカタルシスを感じるのは、たぶん僕だけではないでしょう。
どの章も印象的だったのだけど、個人的には松田龍平氏の「あるシーン」と、市川美日子氏の「あるシーン」、そして柄本明氏と尾美としのり氏がからむ「シーン」がとても印象的でした。

■夏が過ぎ行く前に(2006年 韓国映画)
監督 スン・ジヘ
脚本 スン・ジヘ
音楽 チェ・ヨンラク 
キャスト
イ・ヒョヌ キム・ボギョン クォン・ミン
インターナショナルプレミア上映

恋愛の狭間で揺れ動く女性の心をテーマにすえたアーティスティックな作品。留学先から帰郷したヒロインの「ソヨン」が恋愛を通して見せる心の動きや、台詞の行間に見せる表情が光る作品ですね。

韓国って、海外留学する方が多いのだけど、そういったお国柄の事情とか、彼の国の文化とか人々の生活観も見えたりして興味深かったです。

韓国映画って、「シュリ」とか「シルミド」とかいった、超娯楽大作が人気になった後、「冬のソナタ」のように、男女の間の繊細な空気感を描いた作品が量産されるようになったんだけど、エンタメを意識した構成の作品が多かったので、こういったアーティスティックな作風の作品が見られたのはうれしかったですね。

鑑賞後に独特な酩酊感が得られたのもよかったし、なによりこういったアーティスティックな作品が製作され続けていることに、安心したかな。
それにしても、主演女優さん、すごい美人。演技力もあるし、これからの活躍をお祈りしたいと思います。

■アジアンタムブルー(2006年 日本映画)
監督 藤田明二
脚本:神山由美子
音楽:大島ミチル
製作 2006年「アジアンタムブルー製作委員会」
キャスト 阿部寛  松下奈緒 小島 聖 佐々木蔵之介 村田雄浩
小日向文世 高島礼子

小説家「大崎善生」氏の同名小説の映画化作品。
アダルト専門の雑誌を刊行する出版社で働く編集者「山崎隆二(阿部寛)」と新進カメラマン「続木葉子(松下奈緒)」が描く、かけがえのない時間をテーマにしたラヴ・ストーリー

実は原作の大ファンでして、恋愛をコアにして、複数のテーマを繊細かつ複雑に織り込んだ原作を一体どうやって映像化するのか、大変興味がありました。

阿部寛さんと松下奈緒さんの演技が、繊細さと独特な透明感のある原作をうまく再現していると思います。二人の関係に強くスポットを当てることで、原作で表現されていた恋愛以外の様々なテーマがより強く輝いていて、繊細な空気感を表現していたのは、驚きました。

「隆二」を演じる阿部寛さん、「葉子」を演じる松下奈緒さんが、作品全体を通じて台詞の行間で見せる演技や表情がすばらしい。
「ゆっくりと近づいていく男女の距離感」や、「愛する男性に接した女性の嬉々とした感情」や、「女性を支えようとする男性の不安や弱さをかみ殺した独特な感情」「揺れ動く自分の中でうごめく嫉妬を押さえる女性の心」を見事に表現していたと思います。

ラストに描かれる「真摯に生きることを見つめた人だけが放てる愛情だけに満ちた言葉」が、この作品のエッセンスを見事にとらえていますよね。
名優・名女優と呼ばれる方が、この作品を支える役を演じていらっしゃるのもうなずけます。青春のほのかな香りを残したみずみずしい大人の恋愛映画と言えるのではないでしょうか。
パートナーのいらっしゃる方は、お二人で見るとまた違ったものが見えてくるカモ。
ぜひ劇場にお出かけなさってみてくださいね。

 

■ああ、この作品も見たかった
他の仕事のスケジュールと重なっていたり、上映時間が重なっていて、どうしても見られなかった作品もたくさん。
特に今回は、アジア各国の映画が目白押しだった上に、インターナショナルプレミア上映もたくさんあったので、ぜひぜひ全編を見たかった作品が山ほどあったのですが、無念でござる。

その作品もあげればキリがないのだけれど、ピックアップして付記したいと思います。
(特にインターナショナルプレミアを中心にね)

■青燕(2006 韓国映画)
監督・脚本 ユン・ジョン・チャン
キャスト チャン・ジニョン キム・ジョヒョク
日本と併合されていた朝鮮半島に実在した韓国初の女性パイロットを
モチーフにした作品。
日本に渡り飛行学校に入校した彼女のたどる短い生涯の中で、様々な人間模様を描く

昭和史や第二次大戦をテーマにした作品を書いているので、特に関心がある作品ですね。偶然なんだけど、戦時中の日本のパイロット養成をモチーフにした「1920年に彼は生まれた」という掌編作品を僕も書いているので、ぜひ見てみたい作品です。

■シルク(2006年 台湾作品)
監督・脚本 スー・チャオピン
キャスト チャン・チェン 江口洋介

科学者の発明したマシンを使って、アパートに取り憑いた少年の霊とコンタクトを試みる日本人博士と捜査官をコアにしたサスペンススリラー
あの江口洋介がホラー作品に! それだけでも話題満載なんだけど、SFを母体にしたストーリーをきっちり描ききった上に、その中で構築される人間関係がうまく表現されているのが魅力ですね。

そのほかにも、ああ、あれもこれも
シンガポール、マレーシア、インドネシア、フィリピン、インドとかの映画もみたかった。

ベルナールチャウリー監督の「グッバイボーイズ」とか、ジェームスリー監督の「私たちがまた恋に落ちる前に」とか、ヤスミン・アハマド監督の「マクシン」とか、ニア・ディナータ監督の「分かち合う恋」とか、ジェフリージェトゥリアン監督の「クブラドール」とか、カランジョーハル監督の「さよならは言わないで」とか あげればキリがないっす。

ああ、体が三つくらいあったらなあ。ついでだから、だれか今週一週間時間を巻き戻してくれ~!

さてさて紙幅も尽きたようですので、今日はこの辺で。

前回、ちらとご紹介させていただきましたが、日本人監督さん2名にインタビューさせていただいていますので、次回は、作品の紹介を交えながら、ご覧いただきたいと思います。
原稿を書き上げた後に掲載許可を改めていただく予定になってるので、ちと時間がかかるかも

その分、内容を濃くしたいと思いますので、乞うご期待!

コラム書くから読むのよっ!(なんかおすぎさんみたい)

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プロフィール
HN:
松沢直樹
年齢:
56
性別:
男性
誕生日:
1968/03/03
職業:
著述業
趣味:
冬眠
自己紹介:
沈没寸前のコピーライター ライターです。ヤフーではなぜか「小説家」のカテゴリにHPが登録されてますが、ぢっと手を見る日々が続いております。
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